大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡高等裁判所 昭和24年(つ)142号 判決

被告人

平賀達

主文

本件控訴は之を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

前略

同第二点に付いて。

記録によると本件起訴前被告人(当時被疑者)に対し勾留状を発した同一の裁判官が原判決を爲していること所論の通りだが凡そ勾留状を発した裁判官がその後判決に関與しても除斥の原因とならないのみならず、本件の如く勾留状発布の時期が起訴前である場合においてその同一判事が爾後裁判に関與することは訴訟法の禁ずるところではない。從て本件の場合刑事訴訟法第三百七十七條第二号の法令により判決に関與することが出來ない裁判官が判決に関與した場合に該当しないのは勿論、同法第三百七十九條に訴訟手続に法令の違反があつた場合にすら該当しない、又勾留状を返した裁判官の審理判決したとて然らざる場合に比して被告人に不利益だとは謂へない。從て本論旨も又理由がない。

なお、職権で調べてみても原判決には之を破棄すべき欠点がないから刑事訴訟法第三百九十六條に則り本件控訟は之を棄却すべきものとし当審の訴訟費用は同法第百八十一條第一項刑事訴訟費用法第一條第三号により被告人に負担さすべきものとする。

よつて主文の通り判決する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例